誰しも当たり前に聴いている「音楽」
「音楽とは何か」
当たり前の存在過ぎてほとんどの方が考えさえしないと思います。
人々にとって音楽は、生きるためだけであれば、なくてもよいとも思われていますが、実は、音楽が消えると発狂してしまうと言われるくらい心に深く結びついているのです。
一体「音楽」とは本来どのようなものでしょうか?
ひも解いていってみましょう。
「音楽=Music」の語源を辿りますと、ギリシャ神話に出てくる太陽神アポロンに仕える九柱の女神である「ムーサ(ミューズ)」たちの芸がムーシケと言われており、それがMusicとなりました。
9人のムーサは文芸を司る女神たちでそれぞれ担当分野がありました。
1.カリオペー:叙事詩
2.クレイオー:歴史
3.エウテルペー:抒情詩
4.タレイア:喜劇・牧歌
5.メルポメネー:悲劇・挽歌
6.テルプシコラー:合唱・舞踊
7.エラトー:独唱歌
8.ポリュムニアー:讃歌・物語
9.ウーラニアー:天文
ムーサたちは、それぞれ詩、歌、舞踊を行い、その神秘的な「技」がムーシケだったそうです。
音楽は、人類の最も古い記録でも、「祈祷」や「医療」のために使われ、歌や踊りを用いる儀式の様子を見てもムーサたちが行うムーシケに通じるところがあります。
※旧石器時代(今から約43000年前くらい)に使われていたという笛が発見されているそうです。
このように音楽を通じて、神や自然に祈りや願いを届けたり、悪霊を追い払うために用いられたり、神や霊の世界と交信するために必要な、神聖なものだったようです。
また、音楽は、ウーラニアーの担当分野でもある天文や数学と結び付けられて論じられてきているところから、数学的法則と宇宙の法則とも密接な関わりがありそうです。
ここまで見ますと音楽は、人々の心の拠り所になっており、生活になくてはならないものだったと感じます。
そして、人知を超えたとても神聖なものだとされてきたことが分かります。
現代における我々の音楽に対する認識とは大きく違いますね。
今回を通して「音楽」の認識が少しでも変わったのであれば嬉しいです。
◆参考文献
「CD付 徹底図解 クラシック音楽の世界 田村和紀夫著」