【世界を変えるスタバの店員さん】 「スターバックスはなぜ値下げもテレビCMもしないのに強いブランドでいられるのか? ジョン・ムーア (著)」を読んでみて

ただコーヒー一杯を注文しただけなのに、1日温かい気持ちで過ごせるようになる。

それはスターバックスの店員さんが、私が予想していない言葉をかけてくれるからでした。しかも、笑顔で。
スタッフ教育の賜物だと理解していても嬉しいものです。

スタッフ教育だとしたら、どのようにこのクオリティーを大多数のスタッフに浸透させることができるのか興味が出てきたので調べてみました。

ビジョンの共有

スターバックスミッション(理念)「世界を変える」
有意義なやり方で人々の生活に潤いを与えたいという「人々に奉仕する」精神が要。
一杯のドリンクを飲む顧客ごとに心の通った永続的な関係を築くことに焦点が当てられている。

人は特別扱いを受けたと思うとそれだけで1日がハッピーになるくらいです。
私の体験談ですが、スタバでコーヒーを注文したとき、「これからお仕事ですか?、頑張ってくださいね」「今日はクリスマスです。良い一日になりますよう」と言われ、ドキッとし、1日が気持ちよく過ごすことができました。これが潤い?

実際、大抵普通のお店で買い物するときは、「いらっしゃいませ」「ありがとうございました」と言われることの予想はつきます。
予想していない思いやりのある言葉は、とても嬉しいものです。
その心理を生かし、一人一人のお客さんを流作業ではなく、真摯に接することで大きな信頼感や安心感を生んでいると思いました。

誰でも暗唱でき、目標がはっきりしていて、すぐに実行できる6つのミッション

①Our Coffee
商品へのこだわりと追及。


②Our Partners
多様性を受け入れ、お互い尊敬と威厳を持って一人一人が輝き、働きやすい環境づくりを行う。

③Our Customers
心から接すればほんの一瞬であっても、お客さんと繋がり、感動経験をもたらすことができる。

④Our Stores
自分の居場所のように思い思いの時間を過ごしてもらいたい。

⑤Our Neighborhood
スタッフ、お客様、地域や世界が一つになれるように。


⑥Our Shareholders
ミッション全てを実現することで共に成功を分かち合えるはず。
スターバックスと共に歩む全ての人々の繁栄を目指していきます。

難しい言葉を使い、更にはあまりにも壮大すぎる目標や理念は、スタッフとの意識と乖離してしまいます。
乖離したら最後、一気に人ごとになります。
どれも分かりやすく、今からでも仕事やプライベートでも実践できそうなミッションです。
それでいて、想像力が広がるようなメッセージがいいですね。

更に、上のミッションに反する活動が行われていると感じたらいつでも疑問を投げかけてよい「ミッションレビュー制度」というものがあるそうです。
提出された意見には、必ず返信し、返答以上の形(行動)で答えることで、スタッフは、「会社は意見について耳を傾けるだけでなく、対応してくれるのだ」と感じるそうです。
どんなに店舗やスタッフを抱えても一人一人が直接会社に意見が言えるような環境を心がけているそうです。

自由意志に基づく行動を奨励する社内文化

スターバックスでは各自で考え、自分の意思と裁量で対応し、お客さんに満足してもらえること基準とした自分の自由意志に基づく行動を奨励する社内文化がある。
そのために、以下の3点を共有している。

①ビジョンと運命の共有

「世界中のコーヒーの飲み方、味わい方、コーヒーにまつわる体験を変える」(先述した世界を変えるということ)
スターバックスエクスペリエンス(スターバックスの体験)とは何か、なぜ大切で必要なのかを研修する。
スターバックスやコーヒーの歴史を学ぶ。

世界を変えるには、ルーツ(根本原因)を知らなければならないということでしょう。
辿ってきた歴史を自分に継承することによって新しい未来が開けるという発想は理論的です。

②スタッフ同士の交流を深めること

ほとんどの人が期待以上のことをやり遂げようとする同じ志を持っている。
仕事中や仕事以外でも一緒にいたいと感じている人たちが多い。
部門の垣根を超えて作業をする仲間づくりを奨励し、それにより持ちつ持たれつの関係で、チームで作り上げる喜びが生まれる。
どのプロジェクトにも「感動を生む」チャンスがあると信じ、プロジェクトチーム全体が会社の成功を望んでいる。

「この人とは仕事以外でも会いたい」と思う人は何人いるでしょうか?
一緒にいたいということはある程度、自分のプライベートや心の内を晒け出せるということだと思います。
「仕事」という枠組みが人間関係にも「ON」と「OFF」をもたらしてしまっていることも一因でもあると思います。

③適材確保/迅速解雇

「向いている人」を時間をかけて確保し「向いていない人」は直ちに解雇する。
向いている人とは、「会社と商品に対して情熱を持っている。」
向いていない人とは「無気力な態度をし、会社がやろうとしていることを信頼していない。仕事を仕事としてしか捉えていない人。」「会社の理念や使命、そしてお客に関わろうとしない人」
そういう人はすぐ解雇しないとウイルスのように周りに伝播する。

人一人が放つ空気の影響は、思っているよりも大きいです。
不機嫌な態度の人が一人いるだけでも社内全体が気を使い、一番大切なモチベーションが萎れていってしまいます。
「あの人の態度が悪いから、私もこれぐらい良いよね」という悪循環を生む他人との比較も広がります。
感染が広まる前に、手を打つといったことは重要だと思います。

以上、スターバックスの店員さんが生まれるまでについてでした。

スタッフは、「会社の良さ」、「会社の信条」、「会社のおかげでどのように自分の人生の質が高まったか」を周囲に伝える。
それこそが、やらされや必要に駆られて働いていない証拠。
自分たちの会社は周りに対して価値のあるものを生み出しているという自信がある証拠でもある

多くの人が、食事の席で話題にするのは会社の良さよりも不平不満です。
仕事に費やした時間や労力は、お金よりも大切な気づきを得られているからだと思います。

もはや、一般的な「仕事」「会社」という概念ではないことが分かりました。
ビジョンや歴史を共有し、スタッフ一人一人の自分の良心に従った自由意志での行動が、店舗の色となり、スターバックス全体の企業個性やブランドになっていると感じました。
勿論、個人差はあると思いますが、スタッフにやらされ意識がないというのは、お金を稼ぐために仕事をしている感覚が薄く、仕事は自己成長につながり、人生の質が上がると実感しているのだと思いました。

スタバに行くのが更に楽しくなりました。

【関連書籍】
「スターバックスはなぜ値下げもテレビCMもしないのに強いブランドでいられるのか? ジョン・ムーア (著)」

この記事を書いた人

金藏 直樹

作編曲家・ピアニスト/映像クリエイター/フォトグラファー/DNA心理学
貧しい離婚家庭で育ち、独学で音楽活動を始め、今日に至っています。
【主な作品】舞台『鬼切丸伝(主題歌)』ミュージカル「星の王子さま」「銀河鉄道の夜」映画『それぞれのヒーローたち』